GOSICK 全9冊合本版 - (EPUB全文下载)
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书籍内容:
GOSICK 全9冊合本版
桜庭一樹
角川e
文庫
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目次
GOSICK ──ゴシック──
GOSICK Ⅱ ──ゴシック・その罪は名もなき──
GOSICK Ⅲ ──ゴシック・青い薔薇の下で──
GOSICK Ⅳ ──ゴシック・愚者を代弁せよ──
GOSICK Ⅴ ──ゴシック・ベルゼブブの頭蓋──
GOSICK Ⅵ ──ゴシック・仮面舞踏会の夜──
GOSICK Ⅶ ──ゴシック・薔薇色の人生──
GOSICK Ⅷ 上 ──ゴシック・神々の黄昏──
GOSICK Ⅷ 下 ──ゴシック・神々の黄昏──
目次
プロローグ 野兎を走らせろ!
第一章 金色の妖精
モノローグ─monologue 1─
第二章 暗い晩餐
モノローグ─monologue 2─
第三章 幽霊船〈QueenBerry 号〉
モノローグ─monologue 3─
第四章 〈野兎〉と〈猟犬〉
モノローグ─monologue 4─
第五章 ゲーム・セット
モノローグ─monologue 5─
第六章 その手を、離さない
エピローグ 約束
登場人物
ヴィクトリカ
謎に包まれた少女。ヨーロッパの小国ソヴュールにある、聖マルグリット学園図書館塔最上階の秘密の部屋で、大量の書物と時を過ごす。
久城一弥
極東の島国より、聖マルグリット学園に留学してきた少年。
アブリル・ブラッドリー
一弥のクラスメイトで、英国からの留学生。
セシル先生
一弥たちのクラス担任。
グレヴィール・ド・ブロワ
貴族出身の警部。
ロクサーヌ
学園近くの村に住む老占い師。
ネッド・バクスター
イギリスの舞台俳優
ジュリィ・ガイル
炭坑所有者の令嬢。
モーリス
ソヴュール王国外務省幹部。
野原をよこぎって追いかけてゆくと、ウサギがいけがきの下の大きなウサギあなにとびこむのが見えました。
すかさずアリスもそのあとからあなにとびこみましたが、そのときはあなからでてこられるかどうかなど、まったく考えてもみませんでした。
──『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル
楠悦郎訳 新樹社刊
プロローグ 野兎を走らせろ!
大きくて黒いものが──
横切った。
犬だ、と子供は思った。宵闇にまぎれる、闇のように黒い犬。猟犬だ。その四肢はつややかに黒く、二つの目が、闇の中で燃える青い炎のように揺らめいていた。
子供は黒い森を抜けて、ようやく村道を歩きだしたところだった。お使いにしては遅すぎる時間だった。はやく暖炉の燃える暖かな我が家に帰りたかった。近道しようと、村外れのその屋敷の庭に一歩入った途端、その猟犬に遭遇したのだった。
子供は思わず、数歩、後ずさった。
──ぐしゃり。
足の裏に、いやな感触がした。柔らかく、生暖かい液体をふくんだなにかを踏んだ。足元を見下ろすと、ぐじゃぐじゃになった小さな肉塊が落ちていた。赤い肉。血の滴を跳ね返す、茶色い毛皮がところどころ見えていた。長いふわふわした耳が肉塊の中から覗
いていた。そして、それに埋もれたガラス玉のような丸い瞳
。夜空の暗黒を映して、暗く虚
しくこちらを見上げていた。
……野兎だ、と気づいた。
顔を上げた。猟犬の閉じた口
蓋
から、一筋の生々しい血がぼとり、と落ちた。
こいつが食い殺したんだ……!
子供の手から、力が抜けた。ぎゅっと握っていた葡萄
酒の瓶が、ゆっくりと地面に落下し、破片を飛び散らせた。赤紫色の液体が、猟犬の頭にもびしゃりとかかった。
犬は、ズルリ……と、舌なめずりした。
ふいに雷鳴がとどろいた。
白い閃
光
に、その村外れの屋敷が浮かび上がった。いまは誰も住んでいないはずの朽ちた屋敷。そのテラスに、見たこともない姿をした何者かが座っていた。
子供は目を見開いた。
頭から赤いリンネルの布を被
った人間が、車椅子に座っていた。その布がかすかにはだけ、頭があるはずの場所にぽっかり空いた暗い空洞が見えた。布の中から、生きている人間のものとは到底思えない、枯れ枝のごとく瘦
せ細り、あまりに老いた手が一本だけ、にょっきりと突き出ていた。
その手は、金色に輝く手鏡を強く強く握りしめ、ブルブル震えていた。
三つの壺
──銀の壺、銅の壺、ガラスの壺が置かれ、不気味に輝いている。
ふいに、老いたしわがれ声が響いた。
「一人の青年が、もうすぐ、死ぬ、だろう……!」
子供は息を飲んだ。老婆の声……。まるで、この老婆が口にした不吉なことが片端から現実になるような恐怖を覚えた。声は続けた。
「その死が、すべての始まり。
世界は石となって転がり始める」
誰もいなかったはずのテラスから、無数の男たちの声が響いた。子供は驚いて目をこらすが、雷鳴の瞬間に照らされたテラスは、いまは再び、闇に埋もれている。
「どうすれば……」
「我々はどうすれば……」
「ロクサーヌ様!」
「……箱、を」
再び、老婆の声が響いた。
「大きな箱を用意するのじゃ。この庭よりも大きな箱を。それを水面
に浮かべよ。そして……」
──バリバリバリッ!
雷鳴がとどろいた。
白い閃光に、テラスと庭が照らされた。
それが浮かび上がらせた光景に、子供は腰を抜かし、声にならない悲鳴を上げた。
テラスには、赤い老婆と、それを囲む人間たちがいた。人間たちはみな ............
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