明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。2 - (EPUB全文下载)

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　CONTENTS
ＣＵＴ１　今日、俺は怒られる。君は仕返しする。
ＣＵＴ２　昨日、妹は告白される。なぜか俺が怒られる。
ＣＵＴ３　今日、俺は旅に出る。君はヤケになっている。
ＣＵＴ４　昨日、君は彼女に会う。俺はなかったことにする。
ＣＵＴ５　今日、俺たちは花火を見上げる。彼女はなかったことにする。
ＣＵＴ６　明日、俺は死ぬ。君はただいまを言う。
ＣＵＴ７　いつか、君を抱きしめる。俺はあきらめない。
あとがき
　──ただいま、お母さん。
「にいさん、起きるのです」
　うーん、もう朝か……？
「夏休みだからってぐずぐずするななのです。雪
瑚

はお腹がすいたのです」
　あー……もうちょっとだけ……。
「もう！　さっさと起きてなのです！」
　がばぁ。
　ああ、俺の布団が……。
「さぁ早く起きて……って、なんで全裸で寝てるのですかこの変態兄貴──────ッ!!
」
「がぼほぉおおお──────────────────────ッ!?
」
　妹による腹部へのオルテガハンマーを食らい、もんどりうちながらベッドから落下。必死に開いた瞳

に映るのは、真っ赤な顔を覆

いながら部屋を出ていく妹の背中。
「今度はなんだよ」
　立ち上がり、自分の姿を鏡に映してため息ひとつ。
　ああ、あの野郎。
「暑いからって、パジャマくらい着てくれよ」
　ジャージを羽
織

り、机の上に置かれた一冊のノートを見やる。
　落書きだらけのそいつを手に取り、さらにため息。
『おはよう坂
本

くん！　今日も夏休みの宿題を頑張るのだ！　キミのためにいっぱい残しておいてやったぞ！　光

ちゃんてばえらい！』
「あいかわらず調子のいいことを」
　夢
前

光め。
　少女の声を脳内で流し、いつも通りのふざけた日記に三度目のため息を追加。と同時に、春先に訪れたあの日を思い出す。
　四月上旬のとある雨の日。俺の目の前で不幸にも死んでしまった少女、夢前光。
　たまたまその場に居合わせた俺は、黒ローブの人物に「おまえの寿
命

の半分で、彼女をたすけてやろうか」と迫られた。
　突然訪れた究極の選択。俺はその問いに「やってみろよ」と答えていた。その結果、寿命の半分を代
償

に彼女は生き返る──。
「……はずだったんだけどな」
　実際は、なんと一日置きに俺たちの人格が入れ替わり、二
心
同
体

の生活を送るトンデモ展開が始まってしまったのだ。今日は俺が表に出ているが、明日は夢前光に体も意識も乗っ取られてしまう。一日置き。つまり寿命の半分。この事実に気づいた時ほど、日本語の屁
理
屈

さを恨

んだ日はないと思う。
　毎朝四時五十九分に俺たちの人格は入れ替わり、表に出ていない間は記憶喪失となっている。そのため、もうひとりの俺──つまり夢
前
光

とコンタクトをとるには、こうして交換日記を通す以外に方法はない。
「ふざけたことばっかりしやがって」
　そして毎度のことながら。このふざけた日記が証明する通り、夢前光という女はそれはもうアホでアホで超絶レベルのどアホちゃんなのだ！
　腐
女
子

をこじらせるという凄

まじい死に方もさることながら、なんせ日常生活でもドジやマヌケをやらかすせいで、俺の生活は現在、暴
風
警
報

レベルにこんがらがっている。しょうもないイタズラもしょっちゅうで、トラブルに巻きこまれるのは日常茶
飯
事

。
「一応頑張った形跡はあるな」
　数学の宿題を開いてみると、そこには少しばかりやろうとした形跡がある。
　……が、三問目くらいから飽

きてきたのか、だんだんと落書きが増えており、しまいには夢前光と思しき美少女が魔法使いに扮

し、
『光ちゃんのやる気を生
贄

に、坂
本

くんを召
喚

！　後は任せた！』
　と叫んでいる腹立たしいイラストが。それを最後に、宿題は真っ白なまま放置されている。くそう、こんなハイクオリティな絵を描いている間に一問くらい解けるだろうに。
『お願い、明日から頑張るから許して。坂本くんは優しいから許してくれるよね？　優しくない坂本くんなんて嫌だよ？　ね、ね？　さかもとくんってば隠

れイケメン！』
「何が隠れイケメンだ。そんなんで俺が許すとでも思ったのか」
　……今日のところは許してやるけど！
「ったくもう」
　日記にひとりでツッコみ続け、疲
弊

した体を椅
子

に預ける。
　窓からそよぐ風に、ほんの少し涼しさを感じる。ああ、今日も暑そうだな。
「夢前光、か」
　ぽつり、と相棒の名前を呟

く。
　今さらだけど、こいつの魂

が俺に宿ってから本当に色々とあった。
　一身上の都合でクラスにて浮きまくっていた俺だったが、彼女のおかげでなぜかクラスのヒーローになり、一生縁

がないと思っていた女の子からの告白というやつも経験した。夢前光の死を巡って、風
城

という男と対立することもあったし。あれは本当にやばかった。
　ノートを閉じ、彼女が触れたであろう表紙に、手を重ねる。
　顔を会わすことも、手を取ることも、言葉を交わすこともできない不思議な関係。
　俺たちを繫

ぐのは、この一冊のみ。近くて遠い、背中合わせの俺たち。そんなあいつが、俺にとってどういう存在なのか。風城の一 ............

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