モンスターのご主人様:12 - (EPUB全文下载)
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书籍内容:
モンスターのご主人様⑫
日暮眠都
お断り
作品の電子書籍化に際し、仕様上の都合により一部の漢字が略字体で、ルビおよび記号等が印刷出版と異なった表記になっている場合があります。
また、作品によっては差別的表現と受け取られかねない表現が使用されている場合もありますが、作品の書かれた当時の事情を考慮し、原文のとおり掲出した個所があります。
あらかじめご了承ください。
底本カバーデザイン・小久江厚(ムシカゴグラフィクス)
Contents
01
あの幸せな日のことを ~ローズ視点~
02
人形少女の誓い ~ローズ視点~
03
灯火の世界での攻防
04
逃避行での防衛戦 ~ローズ視点~
05
逃避行の果て ~ローズ視点~
06
停滞した時間の終わり
07
あの夜の夢 ~ローズ視点~
08
人形の秘策 ~ローズ視点~
09
人形少女の恋 ~ローズ視点~
10
暴走
11
人形少女の戦い方 ~ローズ視点~
12
人形少女の奮戦 ~ローズ視点~
13
人形の抗い ~ローズ視点~
14
わたしの望みは叶わない ~ローズ視点~
15
行き付く先の片鱗
16
目覚め
17
少年のもたらしたもの
18
取り戻すための戦い
19
もう二度と離さない
20
正義の証明
番外編 真島孝弘の使者 ~ケイ視点~
番外編 ずっと一緒に
01
あの幸せな日のことを ~ローズ視点~
まだ日も昇らない早朝。昼でも薄暗い樹海は、濃い暗闇に包まれている。
マクローリン辺境伯領軍の手を逃れたわたしたちは、『戦鬼』エドガール=ギヴァルシュの奇襲により昏
倒
したご主人様を連れて、開拓村のエルフたちとともに逃
避
行
の日々にあった。
眠る必要のないわたしは、夜通し周囲の警戒を務めていた。
敵は迫りくる辺境伯領軍ばかりではない。樹海には多くのモンスターが生息しており、本来であれば、人々は周囲を高い壁で囲った集落でしか生活できない。このように大勢で樹海を移動するのは、危険極まりないことだった。
たとえ夜であろうと警戒は欠かせない。その点、わたしのように睡眠を必要としない者が混じっていたのは、まだしも幸運なことだっただろう。
あたりには、ケド村とラファ村のエルフたちが寄り添い合って眠っていた。
過酷な環境でやつれて汚れた姿は、こうして眠っていると死んでいるようにも見えた。
満足な旅の準備もできず、堅い地面の上で寝ていては体力の回復にも限界がある。また、これだけの数で移動している以上、モンスターに見付かって襲われることも多々あるし、わたしのような夜
番
が対応するにしても、すぐそばで戦闘があってはおちおち眠ってもいられない。そのたびに飛び起きる彼らの負担は大きかった。
逆にいえば、それだけの過酷な状況にいながらも、彼らはよく堪
えていた。
開拓村育ちの彼らの精神力が強いのもあるが、それ以上に、わたしたちに対する信頼もあるのだろう。わたしたちであれば、この状況をなんとかできると信じているのだ。だから、ぎりぎりの状況でも歯を食いしばることができている。
モンスターであるわたしたちを受け入れてくれた人々だ。
守りたいと思う。守らなければならない。
そこには、ご主人様がずっと求めてきて、この地で勝ち得た信頼があった。
「ご主人様……」
無意識のうちに、わたしは胸元に手を伸ばしていた。
服の下に小さなペンダントの感触があった。
アケルに来たばかりの頃、ご主人様とのデートのあとに贈っていただいたものだった。
茜
色の丸い宝玉。あの夕刻を閉じ込めたような、わたしの宝物。
その存在を感じるだけで、照れて笑うご主人様の顔と、そのときの幸せな想いを思い出せる。まだ言葉にできない気持ちが、確かにそこにあるのを感じる。わたしはご主人様のことを、主としてだけではなく想っている。それがわかる。感じられる。
あともう少し。本当に、もうちょっとで手が届く。だから――。
「……時間ですね」
わたしは胸元から手を離すと、一瞬のうちに込み上げた想いを胸の奥に沈めた。
みんなを起こして回らなければいけない時間になっていた。
今日も一日が始まる。わたしたちはまだ、誰ひとり諦
めてはいない。
02
人形少女の誓い ~ローズ視点~
距離を稼ぐために、日が昇る前には出発する。
体力の消
耗
を抑えるために黙々と、周囲に警戒を張り巡らせながら歩いていく。
「そろそろ休憩にしましょう」
シランさんが休憩を提案したのは、昼過ぎのことだった。
エルフたちは足を投げ出すように地面に腰を下ろした。みんな疲れた顔をしていた。
無理もない。生まれ育った村から逃げ出すだけでも精神的につらいものがあるのに、敵の辺境伯領軍には、この世界の正義の象徴ともいうべき聖堂騎士団が付いているのだ。心折れずにいるだけでも精一杯。そのうえ、夜と短い休憩時間を除いては一日中歩き詰めだ。
その夜にしたところで、危険な樹海ではそうそう休めない。体力の消耗は激しかった。
なかでも一番、体調が悪そうなのはシランさんだった。
アンデッド・モンスターの肉体を持つ彼女は、魔力の供給をご主人様に頼っているため、引きずられて魔力欠
乏
に陥っていた。ご主人様の体に宿っているアサリナや、サルビアさんと違って、まったく動けないわけではないだけましだが、具合は非常に悪そうだった。
そんな状態でも気
丈
にエルフたちに指示を出しているのは、そうしなければ集団を維持できないと知っているからだろう。
無理をしている。ただ、それはかつてのように破滅的な性質のものではなかった。
「申し訳ありません、ローズ殿。みなの様子を見てきてもらえませんか」
そう言って、シランさんは地面に腰を下ろした。少しでも魔力 ............
书籍插图:
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