モンスターのご主人様:13 - (EPUB全文下载)
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书籍内容:
モンスターのご主人様⑬
日暮眠都
お断り
作品の電子書籍化に際し、仕様上の都合により一部の漢字が略字体で、ルビおよび記号等が印刷出版と異なった表記になっている場合があります。
また、作品によっては差別的表現と受け取られかねない表現が使用されている場合もありますが、作品の書かれた当時の事情を考慮し、原文のとおり掲出した個所があります。
あらかじめご了承ください。
底本カバーデザイン・小久江厚(ムシカゴグラフィクス)
CONTENTS
01
護衛任務
02
考える少女 ~加藤真菜視点~
03
来訪者
04
メッセンジャー
05
勇気のない少女 ~加藤真菜視点~
06
変わりゆく日々
07
妖精の輪
08
世界の変容
09
少年の迷いと少女の言葉
10
魔王の傷
11
硝子細工
12
帝都への旅路
13
到着前 ~加藤真菜視点~
14
帝都への到着
15
思いがけない再会
16
霧の女が抱く想い
17
喪失の黒、回帰の白
18
思い出
19
探索隊との接触
20
刻まれる溝
21
仇
22
彼女への想い
01
護衛任務
イーレクス帝国の最大都市、帝都に鎮
座
する大聖堂は、この世界を救ってきた歴代勇者の偉業を今日に伝え、人々を教え導く聖堂教会の本部である。透明感のある美しい彫
刻
を施
された石造りの建物は、ここが神聖な場所であることを示していた。
大聖堂でも教会関係者だけが足を踏み入れることを許される区画。吹き抜けのアーチの廊下を、黒い肌をした禿
頭
の大男が歩いていた。
ゴードン=カヴィル。聖堂騎士団副長と第二部隊の隊長を兼任する男だった。
廊下は花と緑に溢
れた中庭に面しており、天気が良ければ、神聖さすら感じさせる美しい光景を見ることができる。しかし、生
憎
、ここのところは曇天の日が続いていた。
それがまた気分を重くするようで、ゴードンは足早に歩を進めた。
やがて目的地の扉に辿り着いた。ノックをして、応答の声を得て部屋に入る。太い眉がかすかに寄った。正面にある執務机に、目的の人物がいなかったからだ。
動きをとめたゴードンに、応接用のソファとテーブルから声がかかった。
「こちらだ、ゴードン」
呼び掛けたのは、この部屋の主、聖堂騎士団の団長であるハリスン=アディントンだった。2メートル近い巨
躯
が、ソファに沈んでいる。
部屋には先客がいた。
ひとりは細身の老人だった。神官の服に身を包み、ぴしりと背筋を伸ばしている。大神官ゲルト=キューゲラー。聖堂教会で最高位にある男だった。この世界で最も権威を持つ組織が聖堂教会である以上、この世界で最も高い地位にあると言って過言ではない人物である。
そして、並んで座るハリスンとゲルトの対面には、ふたりの少年の姿があった。
そのふたりが何者であるのかに気付き、ゴードンはかしこまった。
「申し訳ありません。勇者様方との大事なお話を邪魔してしまいましたか」
「いえいえ。そんなことありませんよ。おれたちはちょっと、話を聞いてもらっていただけですんで。それも、もういい時間でした」
にこにこと愛想よく、少年のひとりが言った。
「それじゃあ、河
津
さん。おれらはそろそろ行きましょうか」
「……そうだな、蛇
岩
」
もうひとりの少年が頷
き、ソファから立ち上がった。
やや元気のない様子ながらも、口許に笑みを浮かべて頭を下げる。
「お話に付き合ってもらってありがとうございました」
「いいえ。迷いを払う助けになれたのならなによりです」
ゲルトは聖職者らしい静かな口調で答えた。
「わたし以外にも、この神殿にはお力になれる神官が多くおりましょう。御心が安らかになるように、彼らにお手伝いをさせてください」
「ありがとうございます」
壁際に控えていた世話役の女性に先導されて、ふたりの少年が退室していく。
それを立ち上がって見送ってから、ゲルトはハリスンに謹
厳
な顔を向けた。
「それでは、わたしも行こう。勇者様がたのお心の慰
撫
については、我々の職分だ。お前は戦いにおいて勇者様をよく支え、お力になれるよう努めるように」
「承知しております」
ハリスンに言い聞かせてから退室していくゲルトを、ゴードンは頭を下げて見送った。
思わぬ先客だったが、なんとなく状況は把
握
できていた。
先日までゴードンは、帝国南部を騒がせた『偽勇者』捜索の任務に就
いていた。しかし、偽勇者とされていた者たちは、実は大きなミスを犯した転移者だった。そうした何人かの転移者を聖堂教会は保護し、精神的なケアを行っている。先程の一幕は、その一環に違いなかった。
勇者の犯した大失態。それは、世
情
に不安を与えかねない情報であり、ごくごく一部の者以外に事実は伏せられていた。ゴードンもまた、知らなかったうちのひとりだった。
けれど、現在は知っている。そして、事実を知ることになったのは、ゴードンだけではない。そうした状況こそが、目
下
の問題のひとつでもあった。
「さて。待たせたな、ゴードン」
ハリスンがゴードンに声をかけた。
「例の報告だろう。聞かせてくれ」
「はい」
ゴードンは頷
き、報告を始めた。
◆ ◆ ◆
「……そうか。状況はかんばしくないな」
ゴードンが報告を終えると、ハリスンは眉を寄せた。
報告内容は、現在の帝国における人々の生活状況に関するものだ。各地にモンスター討
伐
に赴
いたゴードンの部下が、当地の教会に聞き込みを行った結果をまとめたものになる。情報量が物足りない部分はあるにせよ、おおよその状況を測るには足りていた。
現在の帝国では、各地で人心に動揺が広がっている。直接の原因となったの ............
书籍插图:
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