侵略する少女と嘘の庭 - (EPUB全文下载)

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书籍内容:

MF文庫J
侵略する少女と嘘の庭
清水マリコ
カバー・口絵・本文イラスト●
toi8
編集●
土方隆
もくじ
きっかけ
キラー悪魔中山
心の内(前)
戦士、庭に立つ
心の内(後)
伝説を継ぐ
月の川
それから
きっかけ
 この町の、
 


に素敵な

い。
 お姫様は、
 内緒で戦士募集中。

「絶対にいやだ」
「一回だけでいいから」
「その一回がいやだ」
「僕も頼まれたんだよ」
「だったら断れ」
「断るの苦手なんだもん。それとも


が断ってくれる?」
 おれが頼まれたんじゃないのになんで断るんだ。しかし、だんだん押し問答になってきたので、牧生は長い腕を組んでため息をついた。
「こういうの、牧生がきらいなのはわかってるよ。僕と

も、遠まわしに言ってはみたんだよ。だけど、僕らなら身内だから頼めるでしょって」
「ごめんね牧生君……」
 

をさげて唯がため息をついた。困るよね、と


も唇を

らせる。


琴美は女の子だが自分のことを僕と呼ぶ。丸い黒目にマッシュルームカットで、くるくるした動きが小動物に似ている。唯は反対に垂れ目で色白、全体にのんびりして空気がやわらかい。牧生と唯――


唯、琴美、それにいま三人が待っている補習の




を加えた四人を、周囲は「身内」と認識している。が、四人とも、血縁などはまったくない。全員、家がなにかしらの店をやっているため、親同士の商店会つながりで、つきあいの長い幼なじみだ。
 外の風が開け放したままの窓から入ってきた。
 二学期の二日め。裕貴の補習は夏休みの宿題をさぼった罰も兼ねている。
 牧生は


の腕をポリポリ

いて外へと目をそらした。
「じゃあ、本当に一回きりだぞ。失敗したら、二度はないからな」
「ありがとう! やっぱ牧生だなあ」
 裕貴じゃあこうはいかないよ、と琴美はほっとしてうなずいている。なに言ってんだ。おれだって、こうはいきたくないけどこのままじゃ、お前らの立場が悪くなるだろ。帰りまで、ずっとお願いといやだの繰り返しもいやだし。
「じゃあ、とっととやって終わらせるね」
 琴美は教室後ろにある

の中から、メモ用のミスコピーのプリントを一枚持ってきた。
「……運命の女神さま、お願いします」
 つぶやいて、制服のポケットからシャープペンを抜き、祈るように額にかざしてから書きはじめる。
 




 HAYAKAWA MAKIO
 6月23
日生まれ 男
 さらさらとプリントの裏に書いてハートで囲み、下に五十音とアルファベット二十六文字と0から9までの数字を書いた。
「前髪くれる」
「貴重品だからな」
 牧生は自分の短めの前髪を一本抜いて


に渡した。この「運命の女神さま」は、K中の女子の間ではやっているゲーム兼占い兼オカルトもどきで、シャープペンかボールペンに男子の前髪を巻いて女神に祈ると、女神がその男子の「運命の相手」を教えてくれるという、非常にうさんくさい遊びだった。
 前髪を使うのは運命の女神には前髪しかないという言い伝えから来ているというが、それは運命の女神ではなく幸運の女神だと、

を耳にした先生から聞いた。やはりうさんくさい。女の子の面倒な好奇心に、男をつきあわせるためのいやな口実だ。そして前髪を渡す男は、男の間でからかわれるいっぽう、

からも前髪を頼まれない、つまり女子から関心を持たれない男も内心微妙につらかったりするので、総合すれば、男にとってこの遊びは、一刻も早くすたれるべきものだ。
「だいたい、誰に頼まれたんだ」
 牧生もすたれろに同意しながら、牧生の運命を知りたがる女の子はやはり気になる。
「それは秘密」
「教えたっていいだろ」
「牧生君でも、気になるんだねー」
 

が意外そうに


をぱちぱちさせた。気にして悪いか。牧生は心で少しだけ


った。子どものころから背が高いせいか、牧生は年齢より上に思われ、四人のまとめ役になることが多い。それはべつにいやではないのだが、勝手に大人扱いされるのも困る。
「それじゃあ、牧生君も指で支えて」
 前髪を巻いたシャープペンを文字を書いた紙の上に立て、左手の人さし指をそえて支える。祈りが女神に届けばペンはひとりでに動きだし、運命の相手の名前をなぞる。
 もうなにもかもが恥ずかしい世界だ。
 早く戻って来てくれよ


、と思いつつ、牧生は薄い緑のシャープペンに

れた。唯の白い指、琴美の子どものように

の丸い指。そして牧生の長い指先に三方を支えられ、ペンはあやういバランスで立っている。
「女神さま……早川牧生の運命の相手を教えてください……」
 聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、


は繰り返し女神に祈った。

も目を伏せ、唇を小さく動かして、同じ言葉で祈っている。


はぼうっとペンと紙を見ていた。これで運命の相手が決まるなんてまず信じられないし、そもそも「運命の相手」なんて考えじたい嘘くさい。帰りたい。帰ったら、昨日から始めたアレの続きをしよう。牧生は家での大部分の時間をつぎこむ趣味について考えた。が、そばで聞こえる女神さま女神さまのつぶやきにじゃまされ、集中できない。

なんだ。おれにこんな恥ずかしい気分を味あわせ、ありえない運命の相手を知りたがる女の子は。
「動かないね……」
「だめだよ、集中してもっとお祈りしないと」
 唯がせっかく

めかけるのを琴美が厳しい

調
で止めた。こいつ、頼まれただけなのに真剣だな。牧生はちょっと驚いた。まあ、こぐみは僕とか男ぶるわりに、中身はいかにも女子で信じやすいところあるからな。
「女神さま女神さま……」
 琴美は


に祈っているが、牧生がこう雑念だらけでは、万一、万々一本当に女神だか運命だかがあるとしても、ペンは動いてくれないだろう。申し訳なく、同時にちょっとイタズラ心がわきおこった。
 牧生は、少しだけ指に力を入れた ............

书籍插图:
书籍《侵略する少女と嘘の庭》 - 插图1
书籍《侵略する少女と嘘の庭》 - 插图2

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