コード・ブルー3rdシーズン―ドクターヘリ緊急救命― - (EPUB全文下载)

文件大小:0.83 mb。
文件格式:epub 格式。
书籍内容:

コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―
THE THIRD SEASON (下)
脚本/安達奈緒子
ノベライズ/蒔田陽平

 もう昔の自分じゃない。
 医者としてそれなりに経験も積んだし、感情をコントロールする術も身につけた。
 ある程度やれるという自信もある。
 それでも、医療の現場では出会ってしまう。
 激しく揺さぶられてしまう自分に。
 そして、落ち込む。
 医者を続けている限り、私たちは自分に落胆しつづけるのだろう。
* * *
 左手に抱えた分厚いファイルをめくりながら、緋

が病院の廊下を歩いている。胸ポケットのペンを取ろうとしたとき、ファイルがドサッと落ちた。
 後ろからやって来た白

が「おっと」と言いながら、ファイルを拾い上げる。
「あ、ありがと」
「おはよう。やっぱり帰れなかったね。着替え持ってきた」
「ああ、助かる」
 白石は、緋山が抱えたファイルの一番上に脳死判定承諾書があるのを見て言う。
「匠

くんのご家族、決断されたんだね」
 緋山はうなずいて、やるせなさそうにため息をつく。
「頑張ってた部活で事故とか……親もつらいよね」
「二回目の判定は?」
「三時間後」
 そこに「おはようございます」とフライトスーツ姿の雪

が明るく声をかけてきた。
「おはよう」と返して緋山は微笑む。「最近、感じいいね。肩の力抜けたっていうか」
「感じ……悪かったですか。すみません」
 シュンとなりそうな雪村に、「違う違う」と慌てて白石がフォローを入れる。「もっと……すごくよくなったって意味で。何かあったの?」
 三人は連れだってスタッフステーションへと入っていく。
「冴

さんが、周りの雰囲気をよくするのもナースの仕事だって」
「ウッソ、あいつこそいっつも仏頂面じゃんね。ニコニコしてみろって感じ」
 毒づく緋山に白石は笑った。
「冴島さんがニコニコしてたら逆に怖いよ」
「確かに。考えただけでゾクッとする」緋山も笑いながら返す。
「お前ら、なかなか勇気あるな」と二人の会話に藍

が横やりを入れた。
「え?」
「冴島、おはよう」
 藍沢の視線の向こうには冴島がいた。点滴バッグを整理しながら、顔を向ける。
「おはようございます」
 表情が固まったまま、白石は「おはよう」と返すと、勢いよく緋山のほうへ向き直った。
「そうだよ。冴島さん、今日から復帰だよ」
「待ってたよー」と緋山もすっとぼける。「ヘリは? いつから?」
「明日からです。担当、緋山先生なので、よろしくお願いします」と冴島はわざとらしくにっこり笑う。
「あ、私? そっか、それはよかった」
「ホント。戻ってきてくれてよかった!」
 二人は大げさに冴島の復帰を喜ぶと、「ラウンド行こっかな……」と言ってスタッフステーションからそそくさと出ていった。二人を見送った冴島は、険しい視線を藍沢に投げる。
「俺は何も言ってない」
 緋山と別れた白石がエレベーターに乗り込むと、中に新

がいた。挨拶を交わし、「天

さん、無事、手術終わってよかったですね」と話しかける。
「え……ああ、そうですね」
 わずかに曇る表情に、白石はいぶかしげな視線を送る。
「あ、いや……ちょっと手に震えが残ってしまったから」
「……そうですか」
「腫瘍は完全に切除したし、命は助かったんだからってご両親は納得してくれてます」
 新海の言葉に含むものを感じて白石は尋ねた。
「……奏さん本人は……」
 その問いには答えず、新海は言った。
「あれは誰がやっても結果は同じでしょう。むしろよかったほうですよ」
 エレベーターが止まると、「じゃあ」と新海は降りていった。新海の態度に少しばかり違和感を覚えながらも、白石は特に気にせずエレベーターの扉を閉めた。
 回診を終えた白石が医局に戻ると、デスクで緋山が分厚いファイルと格闘していた。白石は緋山の手元の書類に目を落とし、「十七歳か……」とつぶやいた。
「大丈夫?」
「うん? 大丈夫よ。フェロー一人手伝わせてるから」
「うん……いや、書類のことじゃなくてさ……」
 緋山はかつて脳死患者の処置を巡って裁判沙汰になりかけたことがあった。脳死状態の息子に対する母親の愛情を慮

っての行為が仇となり、医療過誤で訴えられそうになったのだ。白石がそのことを心配しているのだと気づいた緋山は、苦笑いを浮かべながら言った。
「大丈夫大丈夫。規則どおりやる。私もそんなに若くないって」
「そっか」と白石も笑みを返しながらうなずく。
「あれ? これ記入しとけって言ったのに。あいつはホントにもう……」
 書類に不備を見つけた緋山は席を立つと、ICUへと向かった。
 ICUでベッド脇のモニターをチェックしていた名

に近づき、緋山は「ねぇちょっと、これ、証明書さ……」と手にした書類を差しだした。
「ああ、すみません。こっち終わったらやります」
「あのさ、これは……」
 言いかけて、無駄かと緋山は口を閉じた。名取は個室のほうに目をやり、言った。
「ずっと付きっきりですよ」
 緋山が視線の先を追うと、脳死判定を受けた男子高校生の山

匠がベッドに横たわり、それを見守るように両親が座っているのが見える。
「やっぱり受け入れられないんですかね」
 緋山は昨日からずっと、彼のまだ生きている臓器を必要な患者へ移植するための膨大な事務手続きにかかりきりになっていた。
「でもよかったですね、臓器が無駄にならなくて。一時期、循環が悪かったし、いたんじゃう前に提供を決断してくれてホッとしましたよ」
「……」
 緋山はあきれ顔でまじまじと名取を見つめた。
「なんですか?」
「いや……私は患者に感情移入しすぎるってよく怒られたけど、あんたは逆だね」
「え?」
「あんたみたいな性格だったら私も問題起こしたりせずに、今頃はもっといいポジションにいれたかもな」
 キツい皮肉とともに名取に書類を渡すと ............

书籍插图:
书籍《コード・ブルー3rdシーズン―ドクターヘリ緊急救命―》 - 插图1
书籍《コード・ブルー3rdシーズン―ドクターヘリ緊急救命―》 - 插图2

以上为书籍内容预览,如需阅读全文内容请下载EPUB源文件,祝您阅读愉快。

版权声明:书云(openelib.org)是世界上最大的在线非盈利图书馆之一,致力于让每个人都能便捷地了解我们的文明。我们尊重著作者的知识产权,如您认为书云侵犯了您的合法权益,请参考版权保护声明,通过邮件openelib@outlook.com联系我们,我们将及时处理您的合理请求。 数研咨询 流芳阁 研报之家 AI应用导航 研报之家
书云 Open E-Library » コード・ブルー3rdシーズン―ドクターヘリ緊急救命― - (EPUB全文下载)