『夏目漱石全集・122作品⇒1冊』 - (EPUB全文下载)
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书籍内容:
目次
イズムの功過
一夜
永日小品
岡本一平著並画『探訪画趣』序
思い出す事など
カーライル博物館
薤露行
学者と名誉
硝子戸の中
元日
木下杢太郎著『唐草表紙』序
教育と文芸
京に着ける夕
虚子君へ
草枕
虞美人草
ケーベル先生
ケーベル先生の告別
現代日本の開化
行人
坑夫
『心』広告文
『心』自序
『心』予告
こころ
琴のそら音
コンラッドの描きたる自然について
作物の批評
三山居士
『三四郎』予告
三四郎
子規の画
子規の畫(旧仮名)
「自然を寫す文章」
自転車日記
写生文
趣味の遺伝
初秋の一日
処女作追懐談
人生
鈴木三重吉宛書簡―明治三十九年
西洋にはない
戦争からきた行き違い
創作家の態度
『それから』予告
それから
それから(旧仮名)
高浜虚子著『鶏頭』序
田山花袋君に答う
『土』に就て
艇長の遺書と中佐の詩
手紙
『傳説の時代』序
点頭録
『東洋美術図譜』
道楽と職業
「土」に就て
長塚節氏の小説「土」
中味と形式
二百十日
入社の辞
猫の広告文
野分
『煤煙』の序
博士問題とマードック先生と余
博士問題の成行
長谷川君と余
彼岸過迄
「額の男」を讀む
文芸委員は何をするか
文芸と道徳
文芸とヒロイツク
文芸の哲学的基礎
文芸は男子一生の事業とするに足らざる乎
文士の生活
文壇の趨勢
文鳥
変な音
變な音(旧仮名)
僕の昔
坊っちゃん
マードック先生の『日本歴史』
正岡子規
幻影の盾
満韓ところどころ
道草
無題
明暗
明治座の所感を虚子君に問れて
模倣と独立
門
夢十夜
余と万年筆
予の描かんと欲する作品
落第
倫敦消息
倫敦塔
私の経過した学生時代
私の個人主義
吾輩は猫である
『吾輩は猫である』上篇自序
『吾輩は猫である』中篇自序
『吾輩は猫である』下篇自序
吾輩ハ猫デアル 旧仮名(序文・第一のみ)
【関連文献】
漱石の人物 和辻哲郎
夏目先生の追憶 和辻哲郎
夏目漱石論 森鴎外
小川芋銭先生と私 野口雨情
「漱石のオセロ」はしがき 野上豐一郎
胡堂百話 野村胡堂
世界の一環としての日本 戸坂潤
埋もれた漱石伝記資料 寺田寅彦
夏目先生の俳句と漢詩 寺田寅彦
夏目漱石先生の追憶 寺田寅彦
俳諧瑣談 寺田寅彦
根岸庵を訪う記 寺田寅彦
漱石山房の冬 芥川龍之介
夏目先生と滝田さん 芥川龍之介
葬儀記 芥川龍之介
文芸的な、余りに文芸的な 芥川龍之介
漱石と自分 狩野亨吉
漱石氏と私 高浜虚子
【夏目漱石全集・出版委員会】
【日本の文豪全集・作品一覧リンク】
イズムの功過
大抵のイズムとか主義とかいうものは無数の事実を
几帳面
な男が
束
にして頭の
抽出
へ入れやすいように
拵
えてくれたものである。
一纏
めにきちりと片付いている代りには、出すのが
臆劫
になったり、
解
くのに手数がかかったりするので、いざという場合には間に合わない事が多い。大抵のイズムはこの点において、実生活上の行為を直接に支配するために作られたる
指南車
というよりは、
吾人
の知識欲を充たすための統一函である。文章ではなくって字引である。
同時に多くのイズムは、
零砕
の類例が、比較的
緻密
な頭脳に
濾過
されて
凝結
した時に取る一種の形である。形といわんよりはむしろ
輪廓
である。
中味
のないものである。中味を棄てて輪廓だけを
畳
み込むのは、
天保銭
を脊負う代りに紙幣を
懐
にすると同じく小さな人間として
軽便
だからである。
この意味においてイズムは会社の決算報告に比較すべきものである。更に生徒の学年成績に
匹敵
すべきものである。
僅
一行の数字の
裏面
に、僅か二位の得点の背景に殆どありのままには繰返しがたき、多くの時と事と人間と、その人間の努力と悲喜と
成敗
とが
潜
んでいる。
従ってイズムは既に経過せる事実を土台として成立するものである。過去を
総束
するものである。経験の歴史を簡略にするものである。与えられたる事実の輪廓である。型である。この型を以て未来に
臨
むのは、天の展開する未来の内容を、人の頭で
拵
えた
器
に
盛終
せようと、あらかじめ待ち
設
けると一般である。器械的な自然界の現象のうち、
尤
も単調な
重複
を
厭
わざるものには、すぐこの型を応用して実生活の便宜を計る事が出来るかも知れない。科学者の研究が未来に反射するというのはこのためである。しかし人間精神上の生活において、吾人がもし一イズムに支配されんとするとき、吾人は
直
に与えられたる輪廓のために生存するの苦痛を感ずるものである。単に与えられたる輪廓の方便として生存するのは、
形骸
のために器械の用をなすと一般だからである。その時わが精神の発展が自個天然の法則に
遵
って、自己に真実なる輪廓を、
自
らと自らに付与し得ざる屈辱を
憤
る事さえある。
精神がこの屈辱を感ずるとき、吾人はこれを過去の輪廓がまさに崩れんとする前兆と見る。未来に引き延ばしがたきものを引き延ばして無理にあるいは盲目的に利用せんとしたる
罪過
と見る。
過去はこれらのイズムに因って支配せられたるが故に、これからもまたこのイズムに支配せられざるべからずと
臆断
して、一短期の過程より得たる輪廓を胸に蔵して、
凡
てを断ぜんとするものは、
升
を抱いて高さを計り、かねて長さを
量
らんとするが如き暴挙である。
自然主義なるものが
起
って既に五、六年になる。これを口にする人は皆それぞれの根拠あっての事と思う。わが知る限りにおいては、またわが了解し得たる限りにおいては(了解し得ざる論議は
暫
く
措
いて)必ずしも非難すべき点ばかりはない。けれども自然主義もまた一つのイズムである。人生上芸術上、ともに一種の因果によって、西洋に発展した歴史の断面を、輪廓にして
舶載
した品物である。吾人がこの輪廓の中味を
充牣
するために生きているのでない事は
明
かである。吾人の活力発展の内容が、自然にこの輪廓を描いた時、始めて自然主義に ............
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